アンコールワット、アンコールトム、バンテアイ・スレイ、プリヤ・カン等の写真集


中央塔 (3)


 強い日差しのうえに照り返しも厳しい。建物自体が明度の明るい素材で構成されているので影の部分にあたる反射光が非常に美しい。淡く青紫色に浮かび上がった細かい浮彫りがメリハリの効いた心地良いリズムで続いていく。おそらく時間帯によって全く
異なった表情を映しだすであろう事は容易に想像できた。印象派の作家が同じ建物を全く同じ角度で時間や季節を変えて描いた気持ちがよくわかる。建築物の構造よりもそれに現れる光と色の現象を舐めるように自分に吸収しキャンバスに放出せんと望んだのだろう。自分もそんな贅沢なことをこの場で出来たらどんなに幸せな経験だろう…と出来るはずのないことを思い描いたりする。

top page photograph
copyright(c)2001 [ Shuma Fine Studio ] all rights reserved.